2022.10.30
この投稿論文は投薬だけで経過を数年診ていた患者さんに排便造影検査(デフェコグラフィー)を行って不顕性直腸脱(直腸重積)と診断が付いたケースレポートです。直腸重積(当院ホームページ内の別ページ参照下さい)は慢性便秘症の中の便排出障害の一疾患であり、程度によっては経腹的な手術が必要です。本症例の治療は腹腔鏡下に手術を行いました。当時、私は排便造影検査など知る筈もなく留学中に面食らった一つですが所属施設では当たり前のように行われていました。今は診療ガイドラインで認知されていますが当時、所属施設以外で直腸・肛門が原因の便秘の疾患群を国内で唱えている人は少なく、新しい発見と本領域の奥深さを感じました。当時、海外の論文を調べますと欧米では直腸重積については既にいくつかの論文が発表(1960年代から)されていて世界との格差を痛感しました。機能的な直腸肛門疾患に興味を持ち始めたのもこの頃です。