2023.08.26
本論文は投稿論文です。少子高齢化の昨今、高齢という理由で手術をしないという選択は少なくなって来ました。近年は老人外科学の概念の必要性もうたわれています。今回は肛門疾患に対して手術を受けた80歳以上の高齢者について検討しました。
対象は54例(うち女性31例)、年齢は80~95(中央値83)歳です。疾患のうちわけは直腸粘膜脱27例(50%)、痔核9例(17%)、ポリープ、腫瘍性病変5例(9%)、裂肛、狭窄4例(7%)、完全直腸脱3例(6%)、痔瘻1例(2%)、その他5例(9%)でした。
7例は抗血栓剤を服用されていました。抗血栓剤服用の有無は近代外科で必ずチェックが必要な内服薬です。麻酔法は脊椎麻酔43例(80%)、局所麻酔5例(9%)、無麻酔4例(7%)、全身麻酔2例(4%)で手術を行いました。術後大きなトラブルはありませんでした。小児科があるように高齢者には老人科などの独立した概念でアプローチする必要があり加齢による生理機能変化を理解した上で治療に当たらなければならないと考えられます。