2023.08.12
本論文は投稿論文です。肛門には肛門腺という器官があり、頻度は多くありませんが肛門腺が癌化する肛門管癌が時に見られます。このタイプは粘膜の下から発生するため粘膜面にさほど異常が認められません。圧激痛が見られます。このタイプを管外型、通常タイプは管内型と分類することもあります。内視鏡での発見はしにくいため(粘膜の変化が乏しいため)内視鏡下の生検でも癌細胞が検出されにくいのです。今回、私たちは乳癌の診断などに使用する自動生検装置を用いた針生検を下半身麻酔(脊椎麻酔)下に4例に行い診断できました(全例内視鏡検査では診断が付きませんでした)。
全例60代の男性でした。うち3例は紹介患者さんでした。全例外来診療では痛みが強く無麻酔では診察が不十分でした。結果的に全例、腹会陰式直腸切断術が行われ永久人工肛門となっています。術後の病理学検査では粘膜面変化が少なく腫瘍も小さいのにも拘わらず意外に進行していてステージⅢ以上でした。全例術後化学療法も行われました。転帰は残念ですが2例は原病死(論文掲載後に1例原病死 計3例)されています。
管外型肛門管癌は小さくても進行癌で予後が悪いものであることを改めて認識しました。現在も症例があればこの検査法を行っています。