2024.02.10
私は「肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン2014年版」作成の際に裂肛を担当いたしました。今回の論文はその担当した稿の解説を商業雑誌から依頼を受けました。
Ⅰ. 裂肛に起因する肛門狭窄、Ⅱ. 裂肛の肛門出血の特徴、Ⅲ. 裂肛の診断に有用な検査方法
に分けて解説させて頂きました。裂肛は切れた部位の修復だけでは治癒しないという点を強調しました。再燃するのがその証拠です。括約筋の持続的過緊張(いわゆる機能的狭窄)が主因で軟膏等で一時的に症状が軽減してもぶり返すのです。そのメルクマークとして内圧検査などが有効です。慢性的変化が続くと器質的な狭窄となり麻酔下でも肛門は開かない状態になります。症状としては出血はさほど酷くないのですが痛みは激痛でガラス破片が刺さった、剃刀で切られたなどと表現されます。
裂肛の手術件数は施設の実力とも言えると考えています。個人的に裂肛の手術治療をやっていない施設で他の肛門疾患の手術を受けるのは自分の家族なら反対します。